当帰芍薬散という漢方薬
当帰芍薬散、飲んだことがある、現在飲んでいる。
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
漢方薬局あさにお越しのお客様の中にも以前飲んでいたという方がいらっしゃいます。
生理痛、生理不順、むくみなどで服用されたのでしょうか。
今回は当帰芍薬散について、現在の私の考えを書いてみようかなと思います。
当帰芍薬散は金匱要略の婦人妊娠病を取り扱っている章に出てきます。
簡単に言うと、
「妊娠中に腹の痛むもの、婦人のお腹の痛むもの に良い」
と書いてあります。
お腹の痛みにも色々とあります。
当帰芍薬散のお腹の痛みとはどのようなものなのでしょうか。
漢方薬の働きを考えるときは、どのような生薬で構成されているのかをみてみます。
当帰芍薬散は6種類の生薬から構成されています。
当帰(とうき)、川窮(せんきゅう)、芍薬、茯苓(ぶくりょう)、朮(じゅつ)、沢瀉(たくしゃ)
そしてこの6種類の生薬は大きく2つに分類することができます。
血流を調える生薬…当帰、川窮、芍薬
血液以外の体液の巡りを調える生薬…茯苓、朮、沢瀉
もし血液の巡りだけが悪いのであれば、血流を調える生薬だけでつらい症状は改善されます。
もし体液の巡りが悪いだけなのであれば、体液の巡りを調える生薬だけでつらい症状は改善されるはずです。
だから、当帰芍薬散は、血と体液、両方の巡りの悪い腹痛に効果があると考えられます。
もう少し具体的に見ていきます。
血流を調える生薬の当帰、川窮、芍薬の働きを考えてみます。
当帰、川窮は温めながら血流を改善していきます。
芍薬は痛みの原因の一つである子宮の弛緩収縮を調えて血流を改善します。
だから、当帰、川窮、芍薬は温めながら、子宮の弛緩収縮を調えて血流を改善する
・・・おそらく冷えて、子宮の弛緩収縮が上手にできずに腹痛がおこっている症状の改善ができると考えられます。
血流を調える生薬について考えただけで腹痛が改善してしまいそうですが・・・
実は体液は血と密接な関係があります。
体液は絶えず血管を行き来して、血の質や濃度を調えたり、血流を調えるお手伝いをしています。
だから体液の巡りが悪くなり、身体の中に偏在してしまうと、偏在する場所によって様々な症状が生じます。
例えば、むくみ、尿が頻尿、または逆に回数が少ない、身体が重い、めまい、頭痛、冷え、痛み・・・などです。
そこで必要になってくるのが、茯苓、朮、沢瀉という、体液の偏在を調える生薬です。
このように見てくると、
当帰芍薬散は、
むくみ、尿が頻尿、または逆に回数が少ない、身体が重い、めまい、頭痛、冷え、痛みといった、体液の偏在が生じていて、血流が悪くなっている場合の
腹痛に効果があると考えられます。
当帰芍薬散について書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。
もし当帰芍薬散を飲んでみたけど、あまり効果が実感できなかった・・・という場合は、ぜひ漢方を専門に行っている医療機関にご相談くださいね。
たまに、よくわからないけどずっと飲んでいた・・・という方がいらっしゃいます。
治したい症状が合って、効果をしっかり実感したいと思って服用されるのであれば、漢方薬を受け取るときに、どのくらいで効果が実感できるのか、どの程度継続が必要なのかを伺ってみてもよいかもしれません。
効果が実感できなかった場合は、ほかの漢方薬と組み合わせる、またはほかの漢方薬に替える、といったことが必要かもしれません。
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