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下痢・過敏性腸症候群とは

ここで取り上げる下痢は食中毒や感染症によるものはのぞきます。

・人前で話す、大切な試験の前など緊張するとトイレに行きたくなる
・外出するときはトイレの場所を把握してからでないと心配
・下痢と便秘を繰り返す
・子供のころから下痢しやすい
・冷えるとすぐに下痢になる

といったものを取り上げます。

・市販薬を使用しているけど、漢方薬でなんとかならないかな
・過敏性腸症候群と診断されたけど、漢方はどうかな

と思ってお越しくださるかたが多いです。

漢方治療においては、病名は参考とさせていただき、
お客様のおつらい症状、現在の体質、今までの経過をお伺いして、漢方的視点から改善方法をご提案させていただきます。

下痢とは

下痢は「便の水分が多い状態」のことをいいます。

腸が健康な状態で排出されるバナナ状の固形便では、水分は70%程度含まれています。
水分が80%以上になると「泥状便(でいじょうべん)」、
90%以上になると「水様便(すいようべん)」となります。
この液状に近い泥状便と水様便を短時間で頻繁に排出する状態を下痢といいます。

消化吸収とは

では、私達が食べたものは、体内でどのように消化吸収され、最終的には排出されるのでしょうか。
口から摂取した食べ物は、胃で消化されて、吸収されやすいように細かく分解されます。
分解された食べ物は、小腸を通るときに体に必要な栄養素を吸収します。
その後、大腸で水分を吸収して残ったものが便として排出されます。

では、この消化吸収の流れを、水分の面からみてみます。
私たちは普段、食べ物飲み物から2Lの水分を摂取します。
そして、体内の消化液(唾液や胃液、胆汁、膵液、腸液など)は1日およそ7L分泌されます。
両方合わせると1日に9Lもの水分が腸を通ります。
そのうち99パーセントが腸で吸収され、便の中に混ざるのは残りのわずか1パーセント (100グラム)程度です。
消化管でのこのやり取りのバランスが少し崩れただけで、簡単に下痢になってしまうことがわかると思います。

大腸の働き

大腸には「水分を吸収」する働き以外にも、「水分を分泌」したり、腸の内容物を先へ送ったりする「ぜん動運動」の3つの働きがあります。
この3つの働きのバランスが崩れることで下痢を引き起こしやすくなります。

西洋医学的下痢の種類

・浸透圧性下痢 → 多くが食べすぎ飲み過ぎで生じる一過性の急性の下痢です。
・分泌性下痢 → 食中毒や感染症による急性の下痢です。
・ぜん動運動性下痢 →一過性、急性ではない慢性化しやすい下痢です。

ぜん動運動性下痢

ぜん動運動性下痢は、大腸のぜん動運動の働きが活発になりすぎたため、内容物の水分の吸収が不十分になり生じる下痢です。
その代表的な疾患が過敏性腸症候群です。
検査では異常がみつからないにもかかわらず下痢が続きます。
通勤や通学で電車に乗ったときや人と会う前などに、突然腹痛がしてトイレに行きたくなるというものです。
検査では異常がないので、精神的なもので自律神経を乱すことが原因だろうと考えられています。

西洋医学のぜん動運動性下痢の治療

西洋医学では、鎮痛薬、消化器運動機能改善薬、精神安定剤などが処方されることが多いようです。

漢方薬での改善方法

腸の機能がうまくいかないことによって生じる下痢は
漢方薬で結果が出やすいです。
一か月以内に「下痢の頻度が減った」と実感できる場合がほとんどです。

もし、お腹の調子が悪く、いつも落ち着かない・・・と感じながら生活をなさっているのであれば、ぜひ一度漢方治療を専門に行っている医療機関にご相談ください。

また、エキス剤を服用したことがあるけど効果がなかった・・・という方も、ぜひご相談ください。

煎じ薬だと効果の得られる場合がございます。

漢方薬局あさでできること

・人前で話す、大切な試験の前など緊張するとトイレに行きたくなる
・外出するときはトイレの場所を把握してからでないと心配
・下痢と便秘を繰り返す
・子供のころから下痢しやすい
・冷えるとすぐに下痢になる
・電車は各駅停車にしか乗れないの、心配だから

お腹の具合が悪くて、日々の生活に支障が出ているのであれば、ぜひご相談ください。

・腸の機能(蠕動運動)の不具合
・冷え
・食べすぎによる負荷のかかりすぎ

からくるものなのであれば、漢方薬が大きな力になりますよ。

もう少し詳しくお話しすると、
下痢の原因は大きく3つあります。
①腸内の水分量が適切でない場合
②腸の蠕動リズムが乱れている場合
③腸内が冷えた場合、または細菌感染などで熱を持っている場合
です。

①の水分量が適切でない場合は、茯苓(ブクリョウ)や朮(ジュツ)などの入った漢方薬を使うことが多いです。
代表的な漢方薬として、五苓散(ゴレイサン)があります。

②の腸の蠕動リズムが乱れている場合は、芍薬(シャクヤク)と甘草(カンゾウ)の入った漢方薬を使うことが多いです。
代表的な漢方薬として、桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)、四逆散(シギャクサン)があります。

③の腸が冷えた場合は、乾姜(カンキョウ)と甘草(カンゾウ)の入った漢方薬を使うことが多いです。
代表的な漢方薬としては、理中湯(リチュウトウ)があります。

腸が感染症などで熱を持った場合は、オウゴンの入った漢方薬を使うことがあります。
代表的な漢方薬としてはオウゴン湯があります。

下痢の漢方治療をしていて感じることがあります。
下痢の改善には煎じ薬がおススメです。
煎じ薬とは、ご自身で1日1回30分、漢方薬を煎じて作って頂きます。
それを、1日の中で数回に分けて服用して頂きます。

煎じ薬がおススメの理由は
・患者様のお身体の状態に合わせて、しっかりと生薬を調整できる
・温かい漢方薬をお飲み頂くので、お腹が温まり、お腹の機能が調いやすい
・吸収されやすい
からです。

お腹でお悩みの方、ぜひ一度ご相談くださいね。

代表的な漢方薬

桂枝加芍薬湯
甘草瀉心湯
真武湯
柴胡桂枝湯
柴胡桂枝乾姜湯
参苓白朮散

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