
季節の変わり目は、寒暖差や疲れが重なり、風邪をひきやすい時期ですね。
漢方相談の中でも、
- 「自分は漢方で元気だけれど、家族が風邪をひいてしまって…」
- 「離れて暮らす子どもから『ドラッグストアで葛根湯と風邪薬を買ったから大丈夫』と連絡があった」
といったお話をよく伺います。
風邪はできるだけ早く、そして“すっきり”治したいものです。今回は、葛根湯と解熱剤を一緒に飲んでも大丈夫なのかという、よくあるご質問について、漢方の考え方からお伝えします。
そもそも解熱剤はどのように熱を下げるの?
西洋薬の解熱剤は、体が出している熱を一時的に抑えるお薬です。そのため、薬の効果が切れると、再び熱が上がることも少なくありません。
解熱剤で熱が下がっている状態は、「風邪が治っている」と言えるでしょうか。
私自身は、そうは考えていません。
このコラムで言う「治った」とは、薬を飲まなくても元気に普段の生活ができる状態のことを指しています。
風邪かな?と思ったときに大切なこと
風邪と一口に言っても、
- 頭痛やだるさから始まる風邪
- 喉の痛みが強く出る風邪
- 鼻水・鼻づまりが中心の風邪
など、症状はさまざまです。
「風邪かもしれない」と感じたら、まず心がけていただきたいのは養生です。
- いつもより一枚多く着る
- 消化の良い、温かい食事をとる
- しっかり休む、早めに寝る
一方で、
- いつも通り忙しく動き続ける
- 「気合いを入れよう」とエナジードリンクを飲む
- 夜遅くまで仕事をする
こうした過ごし方をすると、本来は自分の体力で治るはずの風邪も、長引いてしまいます。
症状別・自宅でできる簡単なケア
- 喉の痛みが強いとき:大根はちみつをお湯で割って飲むのがおすすめです。難しければ、お湯+はちみつだけでも、喉がやさしく潤います。
- 鼻水が止まらないとき:体の内側(特に胃腸)が冷えていることが多いため、冷たい飲み物は控えましょう。
漢方の風邪薬はどのように働くの?
「風邪かも」「寒気がする」「これから熱が上がりそう」「肩がこる」
そんな初期の段階で使われる代表的な漢方薬が葛根湯です。
漢方の風邪薬は、ウイルスを直接やっつけるのではなく、人間が本来持っている“治そうとする力”を助けるお薬です。
- 体がウイルスと戦うために熱を上げようとしているときは、発熱を後押しする
- 十分に戦った後、余分な熱を下げようとするときは、汗や尿として熱を外に出すのを助ける
そのため、漢方薬を飲んだ後に
- 熱が一時的に上がる
- 汗をかく
- 尿量が増える
といった変化が見られることがありますが、これは悪化ではなく、体が回復に向かっているサインです。
漢方薬を飲むときのポイント
漢方薬は、その働きを理解したうえで服用し、養生を合わせることで、より効果を発揮します。
- エキス剤はお湯に溶いて温かい状態で飲む
- 生姜が含まれている処方であれば、生姜汁を少し加える
- 服用後は、体を温かくして横になり、しっかり休む
体が「風邪ウイルス退治」に集中できる環境を整えてあげましょう。
葛根湯と解熱剤は一緒に飲んでもいい?
ここからが今回の本題です。
葛根湯を服用する際に、解熱剤を一緒に飲むことについてですが、基本的にはおすすめしていません。
理由は、
- 葛根湯:体の治す力を助け、発熱も利用して回復を促す
- 解熱剤:発熱を抑えてしまう
と、働きが正反対だからです。
ただし、
- 高熱でぐったりしている
- 水分もとれないほどつらい
このような場合には、解熱剤が必要になることもあります。その状態は、そもそも葛根湯のような「風邪の初期」に使う漢方薬の適応ではありません。
風邪は「引き始め」が肝心です
風邪は、引き始めに適切な養生と、自分に合った漢方薬を使うことで、早く・すっきり治すことができます。
どうしても無理をしなければならない時には、解熱剤を使う選択もあるでしょう。その場合でも、食事だけはぜひ意識してください。
- レトルトのおかゆ
- お湯を注ぐだけの味噌汁
など、消化が良く体を助けてくれるものを選び、用事が終わったら温かくして早めに休みましょう。
葛根湯をはじめ、漢方薬は「いつ」「どのように使うか」がとても大切です。
自己判断に迷う場合や、風邪を繰り返す方は、ぜひ一度ご相談ください。
世田谷区の漢方薬局あさでは、お一人おひとりの体質や生活状況に合わせて、丁寧にお話を伺っています。
※内容は、現在の私の臨床経験で感じたこと、考えたこと等がもとになっています。経験を重ねていくうちに内容が変化していく可能性がございます。ご了承ください。