今年は例年より湿度の高い日が多い5月でしたね。
そのせいか、
・頭痛
・めまい
・胃もたれ
・むかむかする
・以前痛めた腰が痛い
・咳が続いている
といった症状を訴えられる方が多いです。
最近、よく「気象病」という言葉を耳にします。
上記の症状はすべて気象病というわけではありませんが、お天気の影響もあると考えられます。
もし、病院での検査で身体に異常はないけど、季節の変わり目や梅雨時期など、気温差が大きい時期、気圧の変化が大きい時期に、体調を崩しやすいのであれば、ぜひ一度ご相談下さい。
気象病かもしれません。
気象病は漢方の得意分野です。
すでに出ている症状を改善することができます。
また、症状を出にくくする体質改善を行うことができます。
●気象病の原因
気象病の原因の一つに気圧の変化があります。
雨の降る前、台風が近づいてくると気圧は下がります。
すると耳の中の内耳が感知して、脳に「気圧の変化に備えなさい」と指令を出します。
この神経伝達や身体が気圧の変化に備えるために自律神経が働きます。
この時の自律神経の過剰な働きが気象病の原因と考えられています。
●気象病の漢方治療
急激な気圧の変化、急激な温度変化がおこると、身体は恒常性を保つために、自律神経が忙しく働きます。
では漢方薬はどのように効くのか・・・というと、
自律神経が身体の恒常性を保つためにやろうとしていることのお手伝いだと私は考えます。
気圧が下がると、身体へかかる圧力が低下します。
すると、体液の流れがゆっくりになると考えられます。
細かいことを言うと流れだけでなく、私たちの身体を構成している細胞も膨らみます。
すると・・・
→むくみがでる
→痛みが生じやすくなる
→胃腸の働きが悪くなる
→呼吸器疾患が悪化する
→皮膚がかゆくなる
といった症状が出やすくなります。
だから、漢方薬では体液の巡りを調えることを行います。
漢方では体液を「痰飲(たんいん)」と言います。
痰飲の偏在、滞りを調えることで、今、すでにあるおつらい症状を改善し、痰飲が生じやすい身体の体質改善を行います。
●気象病の養生
「気象病の漢方治療」のところで書きましたが、漢方治療は気圧の低下による痰飲(体液)の偏在、滞りの改善です。
そうなると、日ごろから、
・痰飲が滞らないようにする
・痰飲が偏在しないようにする
ことが大切です。
・痰飲が滞らないようにするには、筋トレをして筋肉量を増やしポンプの働きをしてもらいます。
・痰飲が偏在しないようにするには…痰飲が偏在しやすい場所の一つに「胃」があります。
胃に痰飲を貯めないようにするために、食生活を気をつけることが大切です。
私たちの身体は食べたものから作られています。
何をどのように食べるか、何をどのように飲むか、配慮が必要です。
気象病になりやすい方は特に飲み物に注意してください。
冷たい飲み物はやめましょう。
炎天下で汗をかいたときは良いです。
でも胃を冷やさないように十分にご注意ください。
胃の温度は38度あると言われています。
そこに氷の入った0度のものが一気に入ってきたらどうなりますか?
ぜひ想像してくださいね。
飲むときはゆっくりです。みぞおち(胃)を意識してください。
ガブガブ飲むと、みぞおちがタポンタポンになってしまいます。
これが痰飲です。
夏でも1日1回は常温ではなく温かい白湯かお茶を飲みましょう。
★痰飲を滞らせない、偏在させないポイント
・筋トレをして筋肉量を増やそう
・胃に痰飲を貯めない食生活をしよう
●よく使用する漢方薬
苓桂朮甘湯
茯苓沢瀉湯
五苓散
沢瀉湯
六君子湯
二陳湯
小半夏湯
小柴胡湯