(漢方処方)苓桂朮甘湯の効く人を考えてみました

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私は苓桂朮甘湯を時々服用します。

どんな時に服用するかというと、頭痛がおきそうな時です。

この頭痛の時は他の症状として、

普段より、おしっこに行く回数が少ないように思います。

飲み物を飲んでも、なんとなくみぞおちのあたりでタポタポして吸収されてないように感じ、時にはむかむかを感じることがあります。

あとはお天気と関係があるように感じています。

夕方から雨が降る とか  もあっと湿度を感じる

このような時に生じやすいです。

頭痛に効く漢方薬はいろいろとあります。

その中で、苓桂朮甘湯が効く頭痛には、ポイントがあります。

それは、心下の痰飲(たんいん)です。

傷寒論、金匱要略という漢方薬の書物では、苓桂朮甘湯について以下のように載っています。

傷寒論「傷寒、若くは吐し若くは下して後、心下逆満し、気胸に上衝し、起きてば則ち頭眩し、脈沈緊にして、汗を発すれば経を動かし、身振振として揺を為す者」

金匱要略「心下に痰飲有りて、胸脇支満し目眩する者」

「夫れ短気して微飲有るは、当に小便従り之を去るべし」

簡単に訳すと

心下(=みぞおち)に痰飲があり、尿量が少ない者の、動悸、めまい、たちくらみ、頭痛、息が吸いずらい、といった症状を改善すると書かれています。

苓桂朮甘湯の働きは、みぞおちの痰飲を少なくすることで、おつらい症状を改善していくということです。

みぞおちにある痰飲とはどのようなものかというと、

みぞおちのあたりがゴロゴロと鳴ったり、タポタポ感がある、

また、実際にみぞおちのあたりを押すとタポタポを感じることを指します。

他には、みぞおちに痰飲があると、水分を欲しがらない傾向があります。

傷寒論、金匱要略には、苓桂朮甘湯と兄弟のような漢方薬が複数載っています。

それらも視野に入れながら、工夫して苓桂朮甘湯を服用します。

では、心下の痰飲はどのように作られるのでしょうか。

実はこれからの季節、痰飲は作られやすいです。

気温が上がると、冷たい飲み物をがぶがぶと飲んでしまうことがあると思います。

これが、心下の痰飲を作る原因になります。

一気に飲むと、お腹がタポタポしますよね。

お腹の丈夫な方は、時間がたつとタポタポはなくなります。

でもこれを繰り返したり、もともとお腹の弱い方(消化力が弱い方)は、タポタポが改善されなくなり、痰飲がどんどん大きくなっていきます。

それが、症状として、頭痛や、めまい、胃もたれ、食欲不振になります。

だから、暑くなるこれからの季節は・・・

「飲みたい」と思うときほど、ぜひゆっくりと飲んでくださいね。

そしてクーラーで涼しくなっている室内なのであれば、冷たい飲み物ではなく、常温や温かい飲み物にしてください。

この積み重ねが、これから迎える夏、夏バテにならずに元気に過ごせる秘訣です。

もうすでに痰飲があるかも・・・という方は、ぜひご相談下さい。

漢方薬+養生で改善しましょう。