むくみは、血管からしみ出た体液がうまく循環されずに皮下組織などにたまった状態をさします。
今回取り上げるむくみは、心臓病や腎臓病などの疾患が原因で生じるむくみではなく、原因が特定できないむくみについてお話させていただきます。
・夕方になると足がパンパンになる。
・夕方になると靴がきつくなる。
・顔がはれぼったい。
・生理前になるとむくみがひどくなる。
このようなご相談を受けます。
【むくみの原因】
人間の身体の70%は水です。
そして、むくみの原因となる組織液は体重の約15%を占めると言われています。
体内で何をしているのかというと、血液の一部となったり、血管から染み出て、酸素や栄養を身体の隅々まで運ぶ役割をしています。
酸素や栄養は水とともに動脈の中を流れて毛細血管からしみだして体中の細胞に渡されます。
そして今度は老廃物が水とともに静脈側の毛細血管やリンパ管に吸収され運ばれます。
こうして私たちの細胞は元気に活動しています。
しかし、血液やリンパ液の流れがよくないと、不要な水分(老廃物)を吸収し運び去ることができなくなります。
これがむくみです。
【血液やリンパ液の流れが悪くなる原因(漢方の立場から)】
・腎の働きが弱くなった場合
尿と関係の深い腎の働きが低下すると、尿量が減り、むくみの原因になります。
顔やまぶたに表れやすいです。
・心の働きが弱くなった場合
血液の循環と関係の深い心の働きが低下すると、血液循環が悪くなるため、毛細血管の周辺に余分な水が滞ります。
足のむくみが表れやすいです。
・肝の働きが弱くなった場合
肝の一部である肝臓は血液を介して運ばれるたんぱく質を作ります。
しかし、無理なダイエットや貧血の状態だと血液中のたんぱく質濃度が低下します。
すると身体は血液中の水分を血管から追い出し、血液中たんぱく質濃度を保とうとします。
血管外の水分の量が増えむくみとなります。
【西洋医学の治療法】
むくみの原因となる疾患がない場合は、そのまま様子を見る、あるいは利尿剤を出されることが多いようです。
【漢方の改善方法】
漢方では、「気、血、水の3つがまず必要量がきちんとあって巡っていれば健康である」と考えます。
むくみの原因は「水(すい)」の偏在と考えます。
水の偏在がなぜ生じたのかを、
・むくむ場所
・その方のもともともっていらっしゃる体質
・生活スタイル(運動、食生活など)
から、
むくみと関係のある五臓の中の、「腎」、「心」、「肝」のどの部分と関係があるのかを考え、
改善方法を決定致します。
むくみの原因により、使用する漢方薬は異なります。
【代表的な漢方薬】
防己黄耆湯
五苓散
当帰芍薬散
牛車腎気丸
真武湯
桂枝茯苓丸