最近の漢方相談から①「葛根湯と解熱剤の併用は大丈夫?」

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季節の変わり目、体調を崩しやすい時期ですね。
「私は漢方薬のおかげで元気なんですが、家族が風邪をひいて・・・。」
とか、
近くに住んでいない娘さん、息子さんから、
「近くのドラッグストアで葛根湯と風邪薬買ったから大丈夫。」
と連絡があったんです。
というお話を耳にします。

風邪は早く、すっきり治したいですね。
普段、漢方相談の中で患者様にお伝えしていることをご紹介させて頂きます。

本題に入る前に、、、。
西洋薬の解熱剤は無理やり熱を下げます。
だから、解熱剤の効果が切れると再び熱が上がります。
解熱剤が効いている間の熱の低下は、良くなっているといえるのでしょうか。
私はそうは考えません。
このコラムでいう「治った」は薬を飲まなくて大丈夫、元気になるということです。

風邪には
・頭痛やだるさから始まる風邪
・咽喉の痛みから始まる風邪
・鼻水ずるずるから始まる風邪
などいろいろありますが、「風邪かも」と感じたら、
いつもより一枚多く着て、消化の良い温かいものを食べて、しっかり寝ましょう。
この時に、「風邪かも」と気がつきながら、いつものように過ごす、
「気合い入れなきゃ」とエナジードリンクを飲んで、遅くまで仕事をしたら、
自分の体力で治るものも治りません。

のどの痛みが強い時は、大根はちみつを作ってお湯で割って飲むのがおすすめです。
作れなければ、お湯にはちみつを加えて飲むと咽喉に優しく痛みがやわらぎます。
鼻水ずるずるの時は、内臓が冷えているので冷たい飲み物は厳禁です。

「風邪かも」と思った時に「寒気を感じる」、「これから熱が上がってきそう」と感じた時は、葛根湯など自分に合った漢方薬を服用することをお勧めします。

漢方の風邪薬は風邪をどのように改善すると思いますか?
漢方の風邪薬は人間の身体に備わっている風邪を治そうとする力を助けます。
だから、身体が熱を上げてウイルスをやっつけようとしているときは、発熱を促します。
十分に熱が上がってウイルスをやっつけた後、今度は熱を下げようとしているときは、余分な熱を汗や尿として排出する手助けをします。
だから、漢方の風邪薬を服用すると熱が上がることは当然のことです。
そして、治りかけに汗をかいたり、尿量が増えるのも当然のことです。
悪化しているのではありません。

漢方薬で風邪を治す時にはぜひその漢方薬が体の中でどのように働くのかを理解して服用してくださいね。
そして、漢方薬の働きを助けるような養生をすると、より確実に早くすっきりと風邪を治せます。

ウイルスをやっつけるために発熱を助けるのであれば、漢方薬を服用するときもあっためて飲んだ方がいいですよ。
エキス剤でしたら、お湯に溶いて、さらに成分に生姜が入っているのなら、生姜汁を加えるのもおススメです。
そして、普段より一枚多く着て横になり(寝て)、身体が最大限風邪ウイルス退治に集中できるようにする!

ところで、今回の本題
葛根湯を服用するのに、一緒に解熱剤を飲んだらどうでしょうか。
解熱剤の働きは、漢方薬の働きと相反するものになります。
私は、お勧めしません。

もちろん、あまりにも高熱でぐったりして水分を摂るのもおつらい時には必要です。
そもそもそのような状態の時は葛根湯のような初期の風邪薬の適応ではありません。

風邪は引き始めが肝心です。
上手に養生をして、自分に合った漢方薬を服用して、すっきり治しましょう。

どうしても無理をせざる負えないときは・・・
解熱剤等で熱を下げることもあるでしょう。
その時は、食べ物だけでも、ぜひ気を配ってくださいね。
消化が良く、身体の機能を助けてくれるもの。
コンビニでも売っているレトルトのおかゆ
お湯を注ぐだけの味噌汁
無理が終わった後は、温かくしてさっさと寝ましょう。

※内容は、現在の私の臨床経験で感じたこと、考えたこと等がもとになっています。経験を重ねていくうちに内容が変化していく可能性がございます。ご了承ください。